2004年10月

2004年10月31日

第43話「決戦、油小路」……伊東先生、平助くん、合掌……(涙) その3

闇になる。闇になると、本心を喋りやすい……ここからは、近藤さんと伊東先生の勝負。
「薩摩の大久保くんに、あなたを斬るように持ちかけられました……私自身が新選組を葬るより、他に手はなかった」
 一瞬の冷たい目で、まだ、殺意を残している伊東先生。
「しかし私が間違えてました……人は所詮、その過去を消すことはできない」
 近藤さん、今一瞬、ふでさんの言葉を思い出したんじゃないでしょうか。
 伊東先生の手。この時点ではまだ、伊東先生は近藤さんを刺す気でいたろう。
「ひとつだけ申し上げたいことがあります」
「伺いましょう」
「あなたの意見が通らないのはおそらく、新選組にいたからではない」
 近藤さん、ほんの一握りの者たちが世直しと称して己の欲得のために権力を握ろうとしていることが許せないと、言う。
「あなたは新選組だから弾かれたのではない。薩摩や長州の出身ではなかったからこそ弾かれたのです。そしてそれは私を斬ったところで変わるものではない」
 自分の出自ゆえに弾かれてきた近藤さんの言葉、説得力がある。香取さん、「百姓のせがれが武士として認められるには、多くの年月が要りました」と、本当に局長らしくなりました……この、谷原さん演じる伊東甲子太郎とのサシの場面、良かったです。
 そして、谷原さんも良かった。おそらくは百姓の出と見下していたであろう近藤さんから、新選組は身分を問わず出自を問わず入れる隊にしたかったという言葉を聞いて、動揺する伊東先生。
「私が望むのはそんな世の中です」
 伊東先生、目にうっすらと涙。自分が近藤さんを斬っても何にもならないばかりか、自分が思想を共にすると思っていた薩長の人間たちよりも共感できるものが近藤さんの中にあったと知った瞬間に他ならないのだろう。
「納得致しました」
「ありがとうございます」
「私は、ここへ来るまで、あなたを刺すつもりでした」
「薄々感づいておりました」
「知っていて、私と会ったと……刺されるとは、思わなかったのですか」
「私は、ですから、命がけで話をしました」
 驚愕……この辺りが、谷原さん曰く、ホームランの演技の局地。膳をのけて、短刀を差し出す伊東先生。
「私の負けです」
「これは勝ち負けではない。我々はもっと早く、こうして腹を割って話すべきでした。お互い志は違っても、国を思う気持ちは同じ。やがてまた手を取り合う日が来るやも知れません」
 涙ぐむ伊東先生。
 うなずき合うふたり……和解が成る瞬間。しかし、その瞬間から……。

 ああ、晴れ晴れと月を見上げる伊東先生……この時にそんな晴れ晴れとした顔を(涙)。
 四人の新選組隊士が取り囲む。
「伊東」と、鍬次郎。
「新選組か」
 刀を抜かずにひとりめを倒す伊東先生。
「愚か者。近藤先生のお心を無駄にするな!」
 一喝してその場を立ち去ろうとする伊東先生。ここは素晴らしい……。
 ……しかし、背後から槍が…………。
 このドラマでは、伊東先生、生涯においてひとりも斬らなかったという設定なんだなぁ……。信じられない、という表情。そして、一瞬だけ微笑んだ……しかし、最後まで、近藤さんが刺客を遣わしたのではないと信じてくれていただろうことが、せめてもの救い。
 斃れる伊東先生……合掌。

 独り酒の近藤さんのところに、駆け込む島田さん。
 土方さん、伊東先生の亡骸を垣根に立てかけたのは土方さんですか? 土方さんの、せめてもの敬意だと思いたいのですが。
「若い奴らを責めるな。奴らはお前のためと思ってやったんだ」
 おい、鬼の副長、土方さんがそう言うのか……武田さんの時といい、命令していない殺害を容認してしまったら、隊の規律が緩んでしまうんじゃないか(滝汗)。いや、それほどまでに、土方さんも疲れているんだろう。
 たぶん、土方さんも、そういう気持ちで近藤さんの別宅前で待機していたんだろうな。
「悪いが、この先は俺に任せてもらう。いい機会だ、どうせ奴らとは遅かれ早かれ決着をつけなきゃならなかった」
 近藤さんの代わりに泥をかぶる決意だろう。
 なんで、決着をつけると決めた時に限って土方さんは、生気を取り戻すんだろう(汗)。たぶん、近藤さんのために泥をかぶる場面こそが、自分の正念場なんだろう。

 使いの言葉を伝える平助くん。罠だと気づく篠原さん、加納さん。
 立ち上がる御陵衛士たち……すみません、結局、服部さんと三木三郎さんの顔と台詞を認識できませんでした(;O;)。

 ……伊東先生、今度は通りに大の字ですか……今度は、誰がそんな格好で寝かせたのか(汗)。
 目を潤ませる平助くん。駕籠に伊東先生を運びかけたところを、新選組隊士たちが取り囲む。左之助、新八っつぁんと目が合う平助くん。
「えやーっ」
 平助くんの雄叫びで始まる死闘。
「早く逃げろ」
 左之助の言葉に目を閉じる平助くん、覚悟を決める。

 屯所、病床からダンダラ羽織を着て戦場に向かおうとする総司くん。
「平助は」
「逃がす算段はつけてある」
「逃げるわけはないでしょう。あなたたちが思っているほど子供じゃないんだ」
 屯所を出たところで、すぐに大喀血する総司くん。騒ぐお孝さん。
「行ってあげてください。近藤さんが行かないと、平助は死にます……」
 悲痛な表情で静かに総司くんを見つめる土方さん、辛そうな近藤さん。

 白刃入り乱れる乱闘。斃れる御陵衛士隊士。新八っつぁんに斬られたのは、まさか三木三郎くんじゃないですよね(汗)。
 鬼気迫る表情で斬り込む平助くん。加納さん、篠原さんと共に背を合わせて左之助・新八っつぁんと対峙。
「行ってください。ここは私に任せて……早くっ」と、真正面から闘うことを選ぶ平助くん。憎しみではなく、意地というか、自分がどう生きるかという極限での選択だと思う。逃げろと左之助や新八っつぁんから望まれても、総司くんが言う通り「あなたたちが思ってるほど子供じゃない」からこそ、向かっていく平助くん。
「平助、お前を斬ることはできん」
 重々しく呟く新八っつぁんに絶叫して斬りかかる平助くん。そして、新八っつぁんに真剣でなく拳であしらわれても、なおも立ち上がろうとする。
 新八っつぁんが加納さんと剣を交えている隙に、背後から……平助くんの背中に……。
 若い隊士に斬られてしまう平助くん。なお、新八っつぁんに向かい、刃を交えてくずおれる……ああ、BGMは、山南さん切腹の場面のアレか……それも抑えた曲調から始まって……本人以外、試衛館の誰もが望んでいない死と別れのテーマ。第1回の視聴の時には、ここで涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった白牡丹……。
「退けーっ」と一喝する篠原さんらと共に、逃げる生き残りの御陵衛士たち。
 駆けつけた近藤さんが「平助ー」と叫んで平助くんを抱き上げる。
「先生……」
「死んではならんっ」
「これでよかったんですね……」
「お前は誠の武士だ」
 近藤さんに、他に、何と言えただろう(涙)。BGMが、また、これだから……(;O;)。
「ありがとうございま……」
 絶命する平助くんの目から一筋の涙。「平助!」と絶叫する近藤さん。目を潤ませる土方さん、目を閉じる新八っつぁん、涙ぼろぼろの左之助。
「またひとり、逝ってしまった……っ」
 ……うわーん、源さん、平助くんから死のバトンを受け取っちゃったよ……イヤーっ(涙)!!

☆★☆★

 うわー、次回では佐々木様と近藤さんが口論か^_^;。
 覆面した女刺客がおりょうさんってバレバレだ~。
 いよいよ、鳥羽伏見の戦いの前哨戦……終盤なんですね(涙)。

 「新選組を行く」は本光寺、七条油小路、戒光寺。
 近藤勇暗殺説をさらっと語って「処分でした」って……(汗)。いや、「処分」って、それはいくら何でも、まずいでしょ。処刑された訳でなくて、暗殺な訳で。白牡丹の知っている伊東先生ファンたちがどう反応するかわかるだけに、あぁそれはヤバイ解説……(滝汗)。


第43話「決戦、油小路」……伊東先生、平助くん、合掌……(涙) その2

 高台寺の庭から、苦悩する伊東先生。スタッフ入魂の作だという、ふたつの築山。その前で、伊東さん、決断。
 加納さん、斎藤さんを呼びにやられる。
 慶応3年11月18日。
「やってくれるね、斎藤くん」と、近藤さん暗殺含みで呼び出して欲しいと斎藤さんを屯所に遣う。間者という疑いを晴らせと念を入れる伊東先生。
 斎藤くんひとりでは心もとないと加納さん。
「あなどるな」
「篠原を呼んできなさい」
 ……やっぱり疑ってますね。信じる相手とそうでない相手に対するガードの張り方が、すごく不安定な伊東先生。斎藤さんのケースについては、確かに当たってますが。

 平助くんに自分の正体を明かす斎藤さん。
「伊東先生を裏切るわけにはいかないっ。そして……本当のことを知ってしまった以上、斎藤さんを行かせるわけにはいかない」
 平助くん、剣を抜く姿が凛々しい……しかし、このオチがあれとは(汗)。

 土方さん、近藤さんから受け取った斎藤さんからの手紙を読んで源さんに渡す。
「伊東さんは俺を殺す肚《はら》らしい。すぐに永倉くんを呼んでくれ」と近藤さん。

 ……物置に転がされている平助くん。斎藤さん、斬らないでくれてありがとう。

 人気《ひとけ》のない路上で篠原さんには剣を向ける斎藤さん。
「……やはり、そうだったか」
 剣を抜く篠原さん。なかなか決まってる……。

 高台寺。
「藤堂くん」
「先生……」
 この呼び名、伊東先生の中で平助くんは「平助」から昇格したんだろうか。

 斬り合いに加勢する御陵衛士ズ。斎藤さんのピンチに現れる永倉さんたち。近藤さんの「永倉くんを呼んでくれ」

 腕の傷ついた斎藤さんが屯所に……って、第5話「婚礼の日に」で助けを求めて飛び込んできた斎藤さんと、ちょっとダブる。ちょっと違うのは、屯所は斎藤さんにとって戻るべき場所であること。
「こうなったら高台寺の裏手から鉄砲を撃ちかけ、ひるんだところを正面から斬り込む。間違いなく勝てる」
 土方さんのこの台詞、やっぱり出たなぁ(汗)……でも、「大砲」でなく「鉄砲」としたところが三谷アレンジ。大砲じゃいくら何でも物騒だけど、鉄砲なら、まぁわからんでもない……(^^ゞ。
「いや、ここは様子を見よう」
「向こうはあんたを殺そうとしてるんだぞ」
「真っ向からぶつかれば戦になる。京の町で、それはできん」
 頷く源さん。
「局長の言う通りかも知れん。ここは耐えるのが筋だ」
 近藤さん暗殺計画と知っていつも以上に過激になる土方さん、いつも正論を言う新八っつぁんの言葉に、余計に虫の居所を悪くしたのかも知れない。
「皆さんご立派な方々ばかりで」
 憎まれ口を叩く土方さん。土方さん、河合さん切腹以降、傍目にもわかるぐらい気弱になってきてるなぁと思う。以前だったら、こんな局面では気合いで押し切ったのに、憎まれ口なんて……。

 ことが破れて焦る篠原さん。
「いずれにせよ、事が大きくなればそれだけ無駄な血が流れる」と言いつつも、近藤さんを一対一で呼び出して刺し殺すと宣言……思い詰めてるなぁ、伊東先生も。
「確かに卑怯だ。しかし加納くん、私は志を果たすためならどんな手も使う。そんなことは、国の行く末に比べれば些末なことなのだよ」
 でも、目、潤んでます、伊東先生。自分がここまでやらねばならないところまで追い詰められているという、内心の悲鳴が聞こえるようで。

「伊東さんが会いたがっている」
「罠にきまっているじゃねえか」
「それに乗ってみようと思う」
「かっちゃん!」
 土方さんの必殺(爆)「かっちゃん」も、効かなくなってるよ……源さん、「このお人好しに何か言ってやれ」と話題を振られてもね……源さんは、言えないよね。
 手紙を運んできたのは平助くん。このまま戻るなと勧める永倉さんに左之助。近藤さん、土方さん、源さんも部屋に入ってくる。
「悪いことはいわん。向こうに戻るな」と、土方さん。総司くんとか、平助くんとか、年少組には優しいところを見せるなぁ……。
「ここに残れ」と源さんも。
 苦笑する平助くん。「すみません、いや、皆さん同じことをおっしゃるので」
 できるだけ穏便にすませるつもりだという近藤さん。
 病床の総司くんを見舞う平助くん。付き添っているお孝さん。
 お孝さんの顔をまじまじ見て、おおっと驚く平助くん。彼のこんなコメディ顔を見るのも、今日が最後なんだと思うと……(ぐす)。
 部屋を飛び出すお孝さん。総司くんとお孝さん、何だか気が合いそうな。
 総司くん、前回で周平くんという「託す」相手を見つけたせいなのか、一度倒れてしまったせいなのか、透明感があるというか……苛立ちが消えている。それはそれで死に一歩近づいてしまったからで、哀しいなぁ……。
「考えてみれば、私たちはいつも、上の者をはらはらさせる役割なのかも知れませんね」
 ……そうだよ平助くん、それが若いということなんだ(涙)。

 醒ヶ井の別宅で向き合う近藤さんと伊東先生。風が強いため、近藤さん、灯が消えぬように障子を閉める。鋭い視線の伊東先生を見やって障子を閉めるのは、近藤さん、命がけと覚悟を決めているということだろう。

 家の外で様子を伺う島田魁さんと土方さん。
「案外肝の据わった男だったな」
 土方さん、過去形で言うのか……(滝汗)。

 斎藤さんに近藤さん暗殺を命じた一件について、斎藤さんを間者と見て策をつかったと爽やかな弁舌で説明する伊東先生。
「おわかり、いただけましたたでしょうか」
 ……一瞬、観柳斎の弁明が重なったように思う(汗)。ホント、今回はいろいろな回の場面が重なって見えて、三谷さん、伏線を畳みまくってる姿が目に浮かぶ……。
「伊東先生、いけませんな。それでは到底私を言いくるめることはできません。あなたらしくもない」
 伊東先生がにまっと笑うのは、たぶん、動揺した本心を隠すため。
「わかりました。では、本当のことをお話しましょう」
 ここからの伊東先生、どこまでが虚でどこからが実かというところが見どころ……。

 高台寺。伊東先生が近藤さんを刺すために出向いたと聞かされて、平助くん、動揺。
「私が口惜しいのはそんなことではありません。伊東先生はなぜ私に本心を明かしてくださらなかったのか」
 新選組と決裂する日に昔の仲間と別れを言わせるために遣わしたのだという加納さんの一言で、伊東先生の気遣いを知る平助くん。伊東先生にしてみたら、平助くんが寝返るリスクもあったわけで、戻ってくるという全面的な信頼があったのだろう……いや、寝返ってもいいと思っていたのかも知れない。それぐらい、平助くんを信じていたということだと解釈する。

 夕食中の源さんに詰め寄る大石鍬次郎ら若手隊士。源さんの一喝でも不満げだ……全然納得していない(滝汗)。
 鍬次郎くんにしてみたら、周平くんが幹部たちに可愛がられていることに対しての不満が背景にあるのだろう。

第43話「決戦、油小路」……伊東先生、平助くん、合掌……(涙) その1

 うわー、「ウタノマエ」ことアヴァンタイトルで、中岡・龍馬暗殺(回想)の直後に来ちゃったよ、伊東先生が岩倉卿に罵倒される場面……しかも「しかし、歴史が大きなうねりを見せようとしていた時に、その裏には、波に乗りきれない男たちの悲劇があった」と総括されてる~(汗)。

 前回放送では夜に会合に出かけた伊東先生と平助くんだったけど、この会合は昼間。ということは、前回出かけられたのは岩倉卿の会合に出るために大久保どんとの下打ち合わせだったのかな^_^;。

「慶喜が政権返上して我らを出し抜いたつもりでおるんやったら、今度は儂らが慶喜を出し抜く番や。大久保くん」
 すでに「慶喜」と呼び捨てにされてますね、前《さきの》征夷大将軍は(汗)。
 名指しされた大久保どん。ここに大久保どんひとりということは、西郷どんは表に出ないちゅーことなんだな(汗)……底が知れない、怖い人だわ。
「政権を返すちいうことは、今までの失政を認めたちいうこと。よって、徳川慶喜はこれまでの官職一切を辞し、領地を返上すべきである」
 いぶかしげな顔で、目だけで周囲を見渡す伊東先生……男前だ(笑)。
「そいに従わん場合は、逆賊として、徳川を討つべし」
 大久保どん、得意げ。この『新選組!』での大久保どんは、切れ者というより、西郷どんの手先の小利口な男ってポジションなんでせうか(汗)。この時点ではともかく、明治政府ができてからの史実の大久保利通を近代的政治家としてちょっと尊敬している白牡丹、ちょっと悲しい。
 わいわい言う中で、伊東先生、少し伸び上がって声を張り上げる。前回、龍馬くんに「よい機会ですので、私の唱える大開国策を聴いてもらおうと思っています」と抱負を述べていた時に思い描いていた状況とは、おそらく違うのではあるまいか。伊東先生は幕府も政権の一員に参加するべきだという考え方だったと思うので、徳川慶喜を討つという雰囲気にとまどいながらも、思い切って持論を述べる、という気持ちだったかも知れない。
「今、日本に一番大事なことは富国強兵であります。国を富まし、兵力を蓄え、そのためには進んで外国と貿易を行うことが肝要と心得ます」
 岩倉卿、手を叩いて鎮める。
「いっぺんに喋るな。うるそうてかなわん。よっしゃ、順番に聴いていこうかいの」
 まだ、この時点では、討幕側(大久保どんの発言内容から「倒幕」から「討幕」に切り替わっていると判断する)も村の寄り合い所帯みたいな雰囲気なんだな。

 立ち上がる伊東先生。
「どうか、わたしに発言の機会をお与えください。御陵衛士、伊東甲子太郎であります」
 口調が少し切迫している。いつもの伊東先生らしい余裕がないのは、気負いがあるからかな。
 傍に控える平助くんも、真剣な表情で伊東先生を見守っている。
「私の唱える大開国策を、ぜひ、岩倉卿にもお聴きいただきたく」
「あぁ、何もんや」と、大久保どんに訊ねる岩倉卿。伊東先生の気負いとは対照的に、力抜けてる(汗)。
 あれ、岩倉卿、覚えてないの? 御陵衛士と名乗られたから、ピンと来なかったのかな。
「新選組におったもんごわす」
 目を閉じる岩倉卿。たぶん、自分の家を訪ねてきた伊東先生のことを思い出したんじゃないかな。
「今、日本がなすべきは、国を富まし」
 そこで手を叩く岩倉卿。
「あんたの話はええ」
「は?」
「新選組におったくせに、何や」
 一瞬、狼狽しながらも、にこやかに答える伊東先生。
「今は離れております。そもそも、この伊東甲子太郎、尊皇の思い強く」
「あ゛ー、徳川の手先だった者の話なんぞ聴きとうない」
 一喝する岩倉卿の言葉に、虚をつかれて愕然とする伊東先生。
「あんたなぁ、ここにおられるだけでもありがたいと思え」
 自分が政治的に不遇だった時は「胡散臭いなぁ、実に……しかし、わしは胡散臭いのが大好きでのう。上がりなされ」と、新選組に在籍していた伊東先生を座敷に上げて話を聴かせてやっていたのは、おそらく、誰とでも顔をつないでおけば表舞台に出た時に役に立つかも知れないという計算があったはず。
 そして、状況が変わって自分が時代の中心に躍り出ると、伊東先生の名前を覚えてないフリをして薩長系の志士たちの前で罵倒……要は、自分が元新選組の伊東先生と面識があったという事実を葬りたいわけですな。葬りたいという心理が働いているからこそ、余計に過激な手段を取る、ということだな。その矛先に立ってしまった伊東先生、哀れといえば哀れ。
「名は何やったかいなぁ」
「伊東でございます」
 伊東先生、動揺を押し隠す笑み。
「あ?」
「伊東」
「後藤?」
 満座から失笑が漏れる……岩倉卿、悪辣だなぁ。おそらく、自分の家にやって来た伊東先生を思い出したからこそ否定したいんだろうけど、名前を覚えてやらないという形で存在を否定するイジメ。満座の前で、恥をかかしている。

「伊東でございます!」
 伊東先生、必死の営業スマイル。
「どっちでもよろし。隅に控えておれ……どや、皆の意見を聴かせてくれ」
 その「皆」の中に伊東先生は入ってないのだな……。
 伊東先生、肩を落として座り込む……心配そうな平助くん。
 深川の伊東道場主だった時、弟子のひとりである平助くんを名前で呼んでやらないことで、平助くんの剣や学問を認めていないということを示していた、ちょっと高慢だった伊東先生。よりによって平助くんの前で、屈辱的な扱いを受けるとは……三谷さん、谷原さんがこの場面を演じるために伊東先生の性格づけを行ったそうで(汗)、何つーか、凄い。伊東先生、涙ぐんでるよ……ボロボロだよー。
 ああ、第20話「鴨を酔わすな」とダブる。桂小五郎の前で得意げに長州批判をした鴨さんが、その発言内容について反論されるのではなく、幕府に頼って生きているその立場を桂さんから激しく糾弾されて、追い詰められた場面。伊東先生もまさしく、大開国策の中身についてではなく、元新選組という肩書きによって、門前払いを喰わされたのだなぁ……。
 でも、かつて師匠にそういう扱いを受けた平助くんが、伊東先生を気遣っている表情に、優しいなぁこの子は、と、目を細める白牡丹だった……。

「ウタノマエ」だけでこれだけ書いてすみません、白牡丹的には、今日は伊東先生と平助くんに注目な回なものですから、この「ウタノマエ」の場面はすごーく大事なんです。

 注目のキャストロール……某巨大掲示板にて、今回の「トメ」は谷原章介さんではないかという噂が立ったため。しかし、トメは「坂本龍馬(回想)」……死んでもトメが張れるのは、さすがだ(苦笑)。
 キャスト欄については、もうひとつ小ネタがある。昼間に地デジの先行放送を「見るだけ予約」した時に、出演者欄のトメがなぜか中岡慎太郎を演じている増沢望さんだった、もちろん「(回想)」なしで(爆)。しかも、坂本龍馬を演じる江口洋介さんの名前がなかったので「なんで?(伊東四朗さんの口調で想像してください^_^;)」と思ったのだ。放送を見て初めて「ああ、(回想)付きなんだ」と理解した次第。

☆★☆★

 新選組の屯所。中岡・龍馬暗殺の犯人として左之助が疑われていることを土方さんが報告。鍵は、中岡が証言した「こなくそ!」と聞いた四国訛り。
「京にいる幕府方で、四国生まれの使い手といえば、左之助、まずお前だ」
「え、俺? 言ったっけ?」
「普段は出ないくせに、どうしてこういう時に訛るんだ」
 ……なるほど、前回「こなくそ!」と普段遣わない伊予弁を使った左之助の設定に三谷さんがフォローを入れているわけで(苦笑)。

 場面変わって、龍馬暗殺の関係者として追われる捨助くん。へなちょこなりに大奮闘……命、かかってますからね(苦笑)。
 またも頼ってきた捨助くんを追い返す土方さん。懐からぽんと金を投げるように差し出す。
「多摩に帰れ」
 土方さんのそういう態度が、捨助くんをますます意地張らせてるわけで(苦笑)。
「俺はな、偉くなってお前らを見返すって決めたんだ。危ねえ危ねえ、もう少しでお前にすがるとこだった」
 もうちっと優しく諭してやればいいのに、それができないのは土方さんも不器用なわけで。

 薩摩藩邸。伊東先生の「大開國策」に目を通す大久保一蔵どん。伊東先生、表情にすがるようなものが現れている。岩倉卿にやられたのが、相当にこたえているらしい。
 しかし、大開国策を岩倉卿に伝えると安心させた上で、大久保どん、耳打ち。
「近藤勇を斬ってたもんせ」
 驚愕する伊東先生。
「こいを機に、大いに名を挙げてみたらどげんな」
 今まで人を斬ったことがない伊東先生に……というか、山南さんの切腹の場面で悲痛な顔をしていた伊東先生に、悪魔の誘惑……。

投稿しようとしてるんだけどエラー(;O;)

『新選組!』の感想をアップしようとしているのに、エラーメッセージが続いてます……なぜだ~。

at 21:44|Permalinkブログ管理 

野間みつねさんのご感想、日記更新情報

 拙ブログからリンクを貼らせてもらっている「野間みつねの『新選組!』日記」第42回のご感想が今朝アップされた。今日の第43回「決戦、油小路」放映までに間に合わせたいという、みつねさんの頑張りがすごいです。内容は……相変わらず伊東先生についてがやや(「やや」?)多いです。

 拙ブログの過去記事を見返してみると、あれ、第41回のご感想をアップされた時にご紹介を漏らしていたようですね(汗)……ここ数週間は土曜日に仕事が入って時間が取れない上にトークショーの感想もあったりして、ご紹介が遅くなってました。

 両話のご感想をもう少し具体的に紹介したいのですが……それは、今日の地デジ先行放送を見終わってからにさせてくださいませ(汗)、今は落ち着かないので(^^ゞ。

☆★☆★

第四十一回 「観柳斎、転落」より。

 うわ~っ、きっついなぁ、と思いつつも(汗)、その通りだよなぁと思ったのが下記の一文。
 このラストシーン自体が大河ドラマ版の武田さんが如何に新選組の中で居場所を失っていたかの何よりの証だなあ、何とも残酷なラストシーンだなあ、と、つくづく感じた。……つまり、非常にきついことを言えば、武田さんはもう、永倉さんをはじめとした面々からは、その不在も死も一切気にかけてもらえない、“どうなろうと知ったことではない奴”としか見られていなかったのだ。
 それを武田さんの自業自得だと高処《たかみ》に立ってあっさりと一蹴出来るのは、恐らく、永倉さん達のような、誰にも愧《は》じることのない生き方を貫いている人だけであろう。

みつねさん自身は、武田観柳斎の死の場面で「人に見せなければいいのに、という面を露出してしまい、ちゃんと人に見せればいいのに、という面を頑なに隠してしまう。この物語に出てくる人の殆どは、どうしてこんな無器用者で……」と涙腺を緩ませるように、武田観柳斎の弱さも無器用さもよくわかっていて、上の文章を書いている。それだけに、強烈。

伊東先生が絡んでくる場面での分析の長さ深さについては、この日記の名物であるから(笑)、白牡丹が余り筆を費やすのも野暮だと思う。本編でごゆっくり堪能していただきたい。

 ただ、あえて一言感想じみた紹介をするならば、みつねさんが「ごぼっ」と茶にむせてツッコミ入れる箇所が、白牡丹にはツボである(^^)。

第四十二回 「龍馬暗殺」

史実の伊東先生をこよなく愛する野間みつねさんならではのポイントは、ご紹介せずにはいられない。
 ただ、伊東さんに関しては、その口から“大開国”という言葉──大政奉還後に彼が提出した建白書(私の手持ちの書物では殆ど軒並、大政奉還以前である八月に出されたものとされているが、建白書本文に「数百年後今日ニ至リ始テ政権 朝廷ニ帰シ奉リ候事」とある以上、一部研究書の記載通りに大政奉還後だと見るのが自然であろう)に登場する言葉──が出てくるだけ、既存の(=これまでに広く大衆に供されている)創作物に比して遙かに真摯な描かれ方であると思う。
 あともう一カ所、白牡丹的にご紹介したいところは、以下の文章から始まるところ。
そして……此処からが、見逃してはならないと感じている箇所なのだが。
 伊東さん、藤堂君を振り返っているのだ。
坂本龍馬を介して、伊東先生と平助くんの関係が微妙に変わってくるところなんで(^^ゞ。
他にも、胡散臭い公家のおっさんのことや、いぢわる大石くんのことなど、楽しめるところがあるのだけど、それは本文でどうぞ。